これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





生地をこねこね、丸めてつぶして、乗っけて乗っけて。

これは言わずもがな、今日の放課後に会う約束をした三好くんに渡したいものだ。



「桜乃っ、おい桜乃ってば!!」


「…お、おい…?」


「なにする気なの桜乃!!」



順調に完成へと近づいていた私に、最後の最後でともちゃんの慌てたようなストップがかかる。



「へ、なにって…チョコペンで仕上げを……」


「それカラシ!!!」


「………」



な、ん、で、カ、ラ、シ。


私が手にするものはチョコペンなんかじゃなく、チューブのカラシ。

確かにチョコペンと似たような構造にはなってはいるけれど、さすがにこれを間違えるなんて意味が分からない。


……大丈夫なの桜乃。



「そこまで可愛く作れてるのに仕上げで罰ゲームみたいにさせてどーするの!止めて良かったあ…」


「ほ、本当だよね…!ぼーっと…してて…」


「最近どーしたのよ桜乃。前も当たり前のように1限が始まった途端にお弁当食べ出しちゃったり、数学の時間に世界史の教科書開いてたり……ほんと心配なんだけど!」



気を緩めたら、結局はこうなる。

ともちゃんから詳しく説明されると、私はそんなにもひどかったのかと実感する。