これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





「どう、して…?」


『会ってくれなくなったから』



ちがう、会いたかった。

私も会いたかったけど、どんな顔をして会ったらいいのか分からなくて。


きっと、ぜったい、私の顔は間違っている顔だから。


ニセモノの恋人としての顔は、できてないはずだから。



「こ、恋人のふりをしているわけだから…覚悟してたし、…嫌じゃ、なかったよ」



強がった。

平気なふりをして、先輩ぶった。



『…恋人のふり、か』


「え…?」


『じゃあ明日もするって言ったら?』


「……っ」



三好くんにとってキスは、特別な人とするものじゃないのかもしれない。

高田さんを見返すためなら惜しまないもので、私なんかよりずっとずっと慣れていて。


そう思うと、今の今まで感じていた幸せが苦しさだけのものに変わってしまう。



「…た、高田さんみたいにできるかは分からないけど……がんばる、よ」



あんなふうに首に腕を回して自分から求めるようなものなんか、できない。

角度を変えて何度も何度も、そんなふうにもできない。