これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





『変わりはない?』


「へっ、えっとっ、ない、です…!げんきだよ…!」


『…そ。ならよかった』


「みっ、三好くんは…」


『俺もふつー』



でもお互いに変わりがなくて普通だったら、こんなふうにぎこちなくなっていたかな…?

今までどおり話せたんじゃないのかな。


ふふっと、こぼれてしまう。



『センパイ、明日ってバイト?』


「う、ううん!」


『…じゃー、放課後、ね』


「っ、……ね、って、いうのは、」


『…会いたいかも俺』



あ、いたい…。あ、痛い。
心臓が、いたい。

きゅうううっと、温かい何かでわしづかみされたみたいに苦しい。


どうしたの、ほんとうに。
大丈夫なの桜乃。



『だめだった?』


「ひゃえっ、いやっ、いやっ」


『嫌?』


「ちちちちがっ、…あ、……う」


『あう?』


「……会う、…です」



『ん』と、猛毒すぎる返事。

言葉ひとつひとつが今までの数百倍も甘く聞こえては、脳を痺れさせてくる。