これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





それだけ伝えて、背中を向けて行った。

最後やっと彼の顔を見ることができたとき、また私は比べてしまう。


あんなにも整った顔立ちならば、そしてこんな優しさを自然に与えてあげられる人間だったなら、勝吾くんに飽きられることはなかったんだろうか。


なにがダメだったの、どこがいけなかったの。

勝吾くんのためだけにバイトして、たくさんたくさんプレゼントしてきたのに…。



「……ナツ」



女の子みたいな名前…。

きっと夏の季節に生まれたんだろう、だからナツ。


でも逆に違う季節が誕生日だったら面白いなあと、小さく笑いそうになった。

それもこれも、私は桜乃という名前だけど、実は冬生まれなのだ。



「桜乃ー?ご飯よー?」



それからどういうふうに帰宅できたのか、なぜか記憶がすっぽりと抜けていた。

リビングからお母さんの呼ぶ声が聞こえるというのに、いまだに私は制服を脱ぐことすらしないでベッドに丸まる。


だめ……、もうほんと、食欲、やる気、皆無。