これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





センパイがあんな思いしてまでゲームを買うために頑張っていたことをあいつが知ったら、何かが変わるのだろうか。

自分のためにそこまでしてくれたのかと、態度を改めるんだろうか。


このとき俺は、なぜか、そうはなってくれるなと願ってしまった。



「シフトをまた元に戻そうとは思ってるけど…、やめようとは思ってないかな」


「…どーして」


「確かにできないことばかりだけど、それができるようになったとき……すごく嬉しいから」



合わせていた歩幅を俺のペースに戻した。

くいっと手を引いて、少し駆け足ぎみについてくるセンパイを誘導する。



「えっ、三好くん…?」



駅へと戻りながらも道を外れて、住宅街に埋もれてしまいそうな路地裏へ。



「ひゃ…!」



そして俺は勢いよく腕のなかに引き寄せた。

心臓と心臓の隙間なんかないくらいに、強く抱きしめる。



「みっ、みよしっ、くん!」



そんな声すら埋もれさすほど、つよくつよく。


ドクドクドクドクと、小刻みに震えているお互いの心臓。

それはもう苦しいくらいに鳴ってくる。