『ねえ、何回言えば分かんの?だぁから和牛ハンバーグのAセットとビールって言ってんじゃん!』
『すっ、すみません…!今っ、やってます…!』
『はあー、いいから上のひと呼んできてよ!ぜんぜん注文できないし!』
まだそのとき、そのファミレスはタッチパネル注文になっていなくて。
店員が小型の機械を手にしてオーダーを取っていた。
けれどそこにいた店員だけは何度も何度も操作を打ち間違えているみたいで、客に怒鳴られては頭を下げていて。
ああいう客にだけはなりたくないな…と、俺は反面教師にしながら聞き耳を立てていた。
『新人でも研修中でもないだろ?俺も学生の頃やってたけど、そんなの2日で覚えたよ。
てか高校生でしょ?それくらいできるのが普通だっつーの』
さすがにあれは泣いてしまったんじゃないか───と思いながら目を向けてみると、その店員は『すみません』と小さく謝りつづけているだけだった。
胸が痛い。
あーいうのは、気分が悪くなる。
『申し訳ありませんお客様…!和牛ハンバーグのAセットとビールですね、すぐにご用意いたします!』



