これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





「はいストップ」


「えっ、もうちょっと奥のほうが…」


「ストラップに引っかけんの。ほんとこれだから素人は」


「あっ…、ごめんなさい」


「ふっ、冗談だってば」



冗談が通じないところ。
一生懸命で、優しいところ。

素直で騙されやすくて、人に尽くしすぎるところ。

裏表がなくて、不器用で、見返りを求めない。


ぜんぶ、すべて、一ノ瀬 桜乃の良いところだ。



「取れた……!ありがとう三好くんっ」



割に合わないはずなのに、ゲットしたマスコットを手にしては初回で取れたような反応をするものだから、そこに面白くて笑ってしまった。


そんなセンパイは、せっかく取れたマスコットをなぜか俺の前に差し出してくる。



「え?いらないの?」


「ううん!三好くんのために取りたかったから…!」


「………」



俺がこの人に初めて会ったのは、実は高校受験前のとある日だった。

センパイはぜったい知らないだろうけど、たまたま寄ったファミレスにこの人は居たんだ。