「…なら、その頃に戻ろうとは思わないわけ」
『っ、思うわけないじゃない!またあたしにあんな惨めな思いしろって言うの…!?』
「…俺は、その頃のセレナが好きだったよ」
『ナツくんはあたしのステータスなの!!三好 奈都を手にしたことは、みんなが羨む高田 セレナのすべてなんだからっ!!』
たぶんもう、今のセレナは“わんぱんだ”を覚えてもいなんだろう。
セレナと出会ったのは、小学6年生の頃だっ
た。
そんな時期に転校してきたセレナだったけど、最初の頃は元気な女の子で、すぐにクラスメイトとも打ち解けた。
でもそれはほとんどがセレナのハーフという珍しいルックスに惹かれた男子生徒が近づいたからってだけで、だんだん女子のあいだで避けられるようになって。
そしてセレナの記憶にある、いちばん忘れたい出来事が───そこから始まったいじめだろう。
悪口、陰口、仲間外れは日常茶飯事。
バイ菌扱いもされて、そうしていくうちに男子さえも避けていく。
いつの間にかセレナは前髪で顔を隠しては滅多に話さないような、物静かないじめられっ子になってしまっていた。



