これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





どうしてこんなに変わってしまったんだ。


あのとき、駅前で。

センパイがあのゴミクズ野郎に自分の気持ちをまっすぐ伝えたとき。

あの言葉は、俺がセレナに言いたい言葉そのものでもあった。


だとしてもセレナは笑ったんだ。


ゴミクズ野郎に「つまらない」「疲れる」「恥ずかしい」と言われたセンパイを見つめて、セレナだけは楽しそうに笑った。


その瞬間、かつてセレナがいちばん敵対視していた過去の人間たちと同レベルになっていたことに、この本人は気づいてもいないんだろう。



『ずっと言ってるでしょ?あたしにはナツくんしかいないって。
過去のあたしを知ってくれてるのも、あんなあたしの隣にいてくれたのだってナツくんだけなんだから』



セレナにとって俺と付き合ったことが、承認欲求の火種のようなものとなって。

そこからチヤホヤされて、目立って、周りに立てられて、自分大好き人間になってしまって。


本当は、ほんとうは、出会った頃は。


自分に自信がなくて、自分のことが大嫌いで、それでも謙虚に強く生きていた可愛い女の子だったのに。