これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





だからいちばんは、勝吾くんに会うのが怖かったから。


直接的に絡むことはもう無かったとしても、校内で生活していればすれ違う。

その瞬間が何よりも想像しただけで恐ろしくて、私はまた逃げたのだ。



「ごめん。難しいこと考えたくないとか言っといて、俺が考えさせてる」


「…ううん。三好くんがいてくれて、うれしい」



ありがとう。
ほんとうに、ありがとう。

私は空回って失敗しちゃったけれど、三好くんは高田さんと上手くいくといいねって思ってる。


そんな、精いっぱいだ。



「ふっ、マスク付けたまま撮るの?」


「あ、取り…ます。でも…顔ひどいよね、ひどい…?」


「…安心してセンパイ。いまの加工技術すごいから」


「……うれしくない」



コツンとぶつかった肩、ふわっと触れそうで触れない髪の毛。

ぎこちないピースサイン。
にっと、不器用な笑顔。

カシャッと響く、シャッター音。


たったそれだけで、涙が溢れるなんて知らなかった。



「センパイ、やっぱそれ両足で踏むの」


「こっちのほうが安定するの!う、わっ、スピード出すぎてまたぶつかっちゃった…、」


「安定の定義を一瞬で覆してるし。センパイ見て、あの山すごいリアル」


「ごめん見えない…!必死なの!」


「ははっ、そうだった」