これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





私の手を引きながら、試すように見つめてくる。


そんな動作ひとつひとつにも三好 奈都という男の子の優しさが溢れていた。


歩幅を合わせてくれる。

私が目の前の景色に無意識にも立ち止まると、同じように止まってくれる。



「なにも難しいこと考えず、とりあえずセンパイとふたりになりたかった。って言ったら?」


「……あ、ありがとう」


「ふっ、どーいたしまして?」



電車に揺られて、普段はあまり立ち寄ったことのない駅で降りる。

それにしても平日のこの時間に制服を着た男の子と同い歳ほどの女が居れば、なんとも浮くものだ。



「だ、大丈夫かな…?職質とかされない…?」


「されたとしても別に正直に言えばいいだけ。学校が午前中だけでしたって」



……それは正直に言っているのだろうか。

午前中だけじゃない。
今日は普通に午後まであるはずなのだ。



「それに私は制服じゃないから…」


「私服で通う高校だってあるし、余裕でしょ。さすがに法廷闘争までにはならないと思うから安心してくれていーよ」