これが恋だなんて、知らなかったんだよ。





それからはずっとベッドに籠っているわけにもいかないため、とりあえずは身体を起こすことから始めてみる。


授業の新しい範囲を教えてくれるともちゃんからのメールを確認しては自主学習をしたり、心を落ち着かせるヒーリングミュージックを聴いてみたり。

身体そのものからリラックスさせようと、真っ昼間からお風呂に入ったり。



「よし…!」



全身の水分はなんとか補えた…はず。

洗面台の前、無理やりにでも笑顔を作ってみせる。



「桜乃ー?お母さんお仕事行ってくるけど、なにかあったらぜったい連絡しなきゃ、そこだけはお父さんも法廷闘争って言うからね」


「あっ、うん…。行ってらっしゃい」



法廷闘争……。
そんなに…?そのレベルなんだ…。

でもお母さんと同じくらい、お父さんも心配してくれちゃってたな…。


今日はたまたま午後からお仕事だったお母さんは、もう1度だけ私の顔を確認してから家を出た。


ずっとウジウジしていたって時間は進んでいくわけだし、そこに私だけ取り残されるわけにはいかないから。

どうにかしてでも前を見なくちゃ。