──とは、言っても。


「はー……」


僕は男子トイレの個室でサラシをとり、大きく息を吐いた。


このサラシも男装用ガードルも、だいぶ慣れたけど……一日拘束されると、やっぱりしんどい。

胸もお尻もそんな大きいほうではないけど、全くないわけでもないのでそれなりに圧迫感がある。

一日の中で休憩はあれど、本当の意味で気が抜けるのはこの個室トイレの中だけ、なんて。

ただでさえマネージャー業務で必死なのに、これから大丈夫かな……?



『√soleil存続のため、頑張ってくれ……!』



……そうだ。√soleilのために……!



僕は深呼吸して、再びガードルとサラシを装着した。

「ふー……僕はマネージャー、僕はマネージャー……」

いつものように呪文を唱えてからマスクをつけて、個室扉を開ける。

「よしっ!」

頑張ろう。

√soleilをさらなる高み……世界へ、連れていくんだ!!