私の言葉は教室内に響き渡った女子の声に掻き消された。


声の中心地には相変わらず微笑をたたえている玲くんがいた。


「1日にして人気者だね、三崎双子の片割れは」


「そ、そうだね...」


そう。実は玲くんと類くんが私が通う柊叶南(しゅうかみなみ)高等学校(略して柊高(しゅうこう))に転校してきた。


これも双子くんのからかいの1つだろうけど、事前に聞かされてなかった私は驚いて大きな声で叫んでしまった。


双子くんと家族になったという事実は隠し通さなければいけなかったので(例え美亜ちゃん相手でも)、叫んだら怪しまれると思ったけれど、それ以上にイケメン双子の美しさに驚いた女子たちの声の方が大きかったので注目されずに済んだ。


それから先はご覧の通り。玲くんは朝のHR後からずっと女子に囲まれている。


対する類くんはそういうのが苦手なのだろうか。近寄る女子を邪険に扱って休み時間もひとりを徹底していた。


この正反対の行動をとる双子の噂を聞きつけて、他クラス、はたまた他学年から大勢の人がうちの教室に詰めかけた。


おかげで昼食時間もいつもの数倍騒がしい。


ちなみに、類くんは昼食の時間になってからすぐにどこかへ消えた。