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「お母さん、この荷物こっちの部屋に置く?」


「そうして~」


お母さんの返事を聞いてから段ボール箱を抱える。


突然ではあるが、私、椎森 鈴音には家族が新たに3人できた。


母の再婚が決まったからである。


この話が決まってから我が家は色々と忙しかった。


5人が住める広さにマイホームを改築したり、必需品を買いそろえたり…


そして、今日は母の再婚相手とその子供が引っ越してくる日だ。


私はこの結婚を心から祝福している。


籍は入れないらしいから、果たしてこれが結婚や再婚と称すものなのかは謎だけど、そんなことは問題じゃない。


私が幼い時から女手一つで育ててくれたお母さん。


今まで生きてきて、やっと幸せになれるのなら私が反対する理由はどこにもなかった。