家に帰るとお母さんはいつものようにスマホをいじっていた。
私に気がつくと、
「遅い。早く飯作れよ」
と冷たい声で言った。
「ごめん、すぐ作るね」
2人に手を洗わせて私も手を洗い、
すぐに支度に取り掛かる。
なんか疲れたなぁ。
当たり前のことなのにね。
ご飯を作り終えたら食器を準備して、
妹と弟と先に食べる。
お母さんは作れって言うくせにすぐには食べないから。
食べ終わったらお風呂にお湯を張る。
その間に食器を洗って、洗濯物を畳む。
これは愛と蓮が手伝ってくれるから楽だ。
2人を一緒にお風呂に入れて髪を乾かす。
蓮はいつも自然乾燥だけど。
終わったら洗濯機を回す。
あとは終わりを待って干すだけ。
ふぅ、疲れた。
愛と蓮を寝かしつけた頃、お父さんが帰ってきた。
「ただいまー。」
「おかえり、お父さん。」
「ん。」
差し出してくるのはお弁当。片付けろって意味。
そのうちスーツも脱ぎ捨てるから、それを片付けるのも私の仕事だ。
「え、まだ飯ないの?帰ってくる時間とか分かるだろ。味噌汁あっためるくらいしとけよ…」
「ご、ごめん!すぐやるね、すぐやるから…」
いけない、忘れてた。
慌てて準備すると、お父さんはお母さんと一緒に仲良くご飯を食べ始めた。
「聞いてよ、あいつ今日も帰り遅くてさぁ…」
「大変だったなぁ。お前がお腹すかせて待ってるのに酷いやつだな、あいつは」
あいつっていうのは私のこと。
こんなの、いつものこと。
そう、だから大丈夫…。
自分に言い聞かせて、リビングを後にした。
