「とりあえず、これ飲んで落ち着いて。」


澤弥の部屋に上がらせてもらって、出されたのは…ホットミルク(シュガースティック付き)。


「私、子供じゃないんだけど?」


「今のアンに、酒なんて勧められるわけないよ。

顔真っ青だけど、何かあったのか?」


ストーカーの顔を見た今、ひとりで抱え込むのは限界で…。


私は、テーブルに突っ伏して泣いた。



ひとしきり泣いた後、澤弥に促されてストーカーのことを話した。


「マネージャー変わったばっかでよく知らない人だし、社長は新人にくっ付いて海外行ってるし…。

それに、事務所が入ってるビルの中で、あの顔を見たことある気がするの。」


「じゃあ、ストーカーを雇ってる疑いがある事務所には下手に相談できない…か。

アン、警察行こう。」


「ちょ…ちょっと待って、社長通さずに警察に話持っていけるわけないでしょ?」


私に止められると、立ち上がってた澤弥は座り直した。


「社長、いつ戻ってくる?」


「クリスマス前には戻って来るって、聞いてる。」


「あと半月くらいか、長いな。」


「…うん。」


澤弥はぬるくなったコーヒーを飲み干すと、私に言ってくれた。


「アン、しばらくここに泊まって良いから。

っつーか、社長戻ってくるまで仕事は全部キャンセルして、絶対に外出するな。」