マジメな話、私を匿ってくれそうな奴は…。


2人の男の顔が浮かんだけれど、考えた末に、私はとある私立高校に向かった。


そこは私の母校じゃないけれど、頼りになる人ランキングがあるなら間違いなく3本の指に入る人間がいる。


事務室で呼び出しをかけてもらい、応接室でそいつが来るのを待つ。



暫くして、背の高い30半ばの男が入ってきた。


高校の時に副担任だった奴で、私の友達の梨香(リコ)に手をつけて結婚までした教師。


チャラチャラした印象は、簡単には変わらないようだ。


「アンジェ、久しぶりだな。」


「蒼(アオイ)突然で悪いけど、泊めて。」


蒼は、元々大きな目を丸くした。


「何だよ、藪から棒に…。

そんな用件なら僕の職場じゃなくて、直接ウチ行って梨香に言えよ。」


「私がいるのを突き止められたら、元も子もないの。

リコにだって迷惑かかるかも…だし、あんたの家まで車で運んで。」


蒼はため息をつくと、言った。


「梨香に迷惑かかるんじゃ、来て欲しくないんだけど…。

アンジェが僕を頼ってきたってことは、よほど切羽詰まってるんだろうね。

マスコミ対策?」


マスコミじゃなくて、ストーカーなんだけどね。


そんなコト言ったら、すごく心配するだろうから…。


首を縦に振っておいた。