「タクヤも…やっぱり、怒ってる?」


「何で?」


「今回のことで、結構怒られてるから。

事務所の社長とマネージャー、それに…蒼にも。

蒼が一番コワかったよ、窓ガラスが揺れるような大声で『この、馬鹿野郎!!』だもん。」


「俺に電話するくらいだから、蒼先生はアンがよほど困ってるのは分かってたんだな。

マスコミ対策だと思ってたのは、置いとくとしても…。」


「蒼は、鋭い部分と鈍い部分が混在してるから…ね。」


「騙しやすい?」


私は、ふふっと笑ってその辺は誤魔化した。



「それと、マスコミ報道のせいでイギリスのパパにもバレてね…。

一度、帰って来いって。」


「アン、そのまま日本に帰って来ないなんて…ないよな?」


「やだなぁ、ちゃんと帰ってくるわよ。」


「なら、良かった。」



デザートを食べながら、窓の外に見える巨大ツリーを眺める。


「あのツリー、綺麗だよね。

近くで見たいな…。」


「アンの方が、綺麗だよ。」


「ちょ…タクヤ、何言ってんのよ…。」


「ホントのことだし、照れることないだろ?

食事終わったら、ツリーの真下に行こうか?」


澤弥の誘いに、私は頷いた。