家に着いて慎里をおろしてやれば、早速高速ハイハイを始めた。

「おお! これは家の中でもフェンスとか必要そうだな」

 慎吾が目を見張っていうので、でしょう、と里穂は胸を張った。

「よし。追加で注文しよう。今日中に届けてくれるところは……と」

 慎吾がタブレットを操作していると、息子の興味を惹いたようで触りたそうだ。

 慎里が手を伸ばしそうとしたタイミングで慎吾は立ち上がった。

 座った位置から見る彼は、摩天楼のように高い。
 息子もそう思ったらしく、長い足を登ろうとしている。

 慎吾は器用にも片足で立ちながら、片足で慎里にちょっかいを出す。
 体幹がしっかりしているらしく、見事に揺れない。

「あ、行儀悪いか?」

 里穂にお伺いを立ててきた。

「ううん、さすがの足技だなあと思って」

 保育園のママ仲間から、「バウンサーに子供を入れて、足で揺らしながら料理をしてる」という離れ技を聞いたこともある。

 里穂もそんなふうにできればいいのにと思うが、不器用だ。