あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

「考えてみたら、里穂としては俺に裏切られたと思ってて。誤解がとけても、すぐにって訳にはいかないよな」

 里穂はこくりとうなずく。
 彼の言う通りだった。

 慎吾の誠実な言動を信じていないわけではない。
 だがなにかの拍子に、彼が薙ぎはらってくれたはずの疑いや不安がひょっこりと芽をだすのだ。 

「里穂がその気になるまで待つから。お願いだから、怯えないでくれ」

 希うような言葉とともに、頬に触れる手が優しい。

「……頑張る」
「今はそれで十分」

 二人はサワサワと聞こえてくる葉ずれの音を聞くともなし、流れていく雲を見るともなしに公園の雰囲気を味わっていた。

 三人でのんびりしていると時間が経つのは早いようで昼飯の時間になった。

「里穂、好きな食べ物は何?」

 正直、今までは食べられれば好き嫌いの言えない状況だった。
 でも。

「ホットドックがいいな」

「オッケー。ここに出ている屋台はどこも美味いって評判だからな。里穂の気に入ったところで買おう」

 三人は屋台をひやかしながら歩き、里穂は辛めのバーベキューソースがかかっているホットドッグとカフェオレ。

 慎吾はシュリンプドッグとコールドビーフサンド、フライドポテトとオニオンリングとジンジャーエールを頼んだ。

「あ!」

 慎里用の食事をバッグに補充していなかったことに気づいた。