あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

「うあ?」

 我が子を慎吾がひょい、とチャイルドシートから抱え上げた。

 いまさらに息子が男性に慣れていないことを思い出した。昨晩は心弱くなっていたのだろう。

「慎吾、あの」

 泣かれたら大変だと、里穂が慌てて手を差し伸べると慎吾にニッと微笑まれる。

 悪いことを企んでいるようでもあり、少年のようでもあり。
 ハロウィンの日の彼を思い出して、里穂はドキッとなる。

「慎里はおとーさん大好きだもんな?」

 慎吾が高い高いをしてやると、きゃっきゃっとはしゃぐ我が子を見て里穂は驚いた。

「……保育士の先生に抱っこされてもギャン泣きしちゃうのに」

「それは第三者と親子の違いだな」

 ふふん、と得意げな慎吾が可愛い。 

 心なしか息子もどや顔をしているようだ。
 あまりにそっくりで、里穂はつい笑ってしまう。

「里穂、置いてくぞー」

 スタスタと歩いて行ってしまう我が子と慎吾を里穂は追いかける。

 エレベーターに乗って出てみれば、公園が広がっていた。