あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

 キャッキャッとはしゃいでいる息子の声を聞きつつ、ドキドキしながらリビングでお茶を飲む。 

 脳裏から恋しい男の裸の胸や腹筋がちらついて離れず、喉の渇きは癒されない。

『上がった』

 浴室からインターフォンで呼ばれる。

「すぐ行く!」

 用意していた慎里のお風呂上がりグッズを持って浴室へと急ぐ。

「ほい」

 浴室のドアが開いて、湯気と共に息子をぬっと渡される。

 両手で大事に抱き抱えられているものの、大きな掌はワンハンドで子供を乗せることが出来そうだ。

 里穂よりもがっしりした腕。
 自分を愛してくれた手。

 彼女はなるべく浴室内を見ないようにしながら慎里を受け取る。
 だが、慎吾はすぐに自身の入浴には戻らず。

「赤ん坊の入浴ってやっぱり大変だな、風呂なのに大汗かいた。シャワー浴びたら出るから里穂も入れよ」

 にこ、と微笑みかけられて心拍数が上がった。

「ご、ゆっくり!」

 裏返った声を出しながら、バスルームのドアを無理やり閉めた。

 ……シャワーから送り出される水流が慎吾の体のあちこちにぶつかってはねる音を聞いていると、妙な気分になってくる。

 いけない、と頭を強く振って煩悩を追い出す。
 ここからは時間勝負だ。