あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

 息子の部屋に戻って慎里の支度をしていると、ノックがした。

「はぁ、い……ッ」

 叫び出さなかった自分を褒めてやりたい。

 ドアをあけ、戸口に現れた慎吾は全裸。 
 もとい、生まれたままの姿で腰へタオルを巻いただけ。

 長く、筋肉のついた脚。
 腹筋はしっかり割れている。

 先程まで整えられていた髪はおろされ、手でかきあげれば、都度胸筋や肩の筋肉が動く。

 目が離せない。
 喉がからからに乾いてくる。

 ごくり。
 自分の、唾液を嚥下した音で我にかえった。
 
「里穂?」

 慎吾は真っ赤になって顔をそらせてしまった彼女を不審げに見つめた。男はやがて、にやと笑みを浮かべた。

「ふぅん。これは役得だった」

 ふてぶてしい言葉を言いながら、慎里をひょいと奪いとっていく。

「俺の裸、初めてじゃないくせに」

 耳元でささやかれて、腰が砕けそうになる。

「じゃな。息子との記念すべき初風呂してくる」

 パタンとドアが閉まり、里穂はずるずると床にうずくまった。

「なんで、堂々と裸なのよーッ!」

 肩も腕も前より逞しく、精悍さが増していた。
 おまけにメガネを外した顔はフライマン・シンゴそのもの。
 いや、あの時より男っぷりが一段も二段も増している。

「かっこよすぎ……」

 はあ、とこぼした里穂の息はとても甘く、熱かった。