あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

 ……きっと社交辞令なのだ。
 自分にだけ特別対応なのだ、と勘違いしてはならない。

 慎吾の言動にいちいち驚いたり喜んでしまう自分は幼いな、と思う。

 
 飲ませるには熱すぎる哺乳瓶を流水で冷やしながら慎吾を盗み見る。

 高い位置でだっこをしてもらって気がまぎれるのか、慎里は部屋のあちこちに興味を示している。

 ――改めて慎吾は背が高いなと思う。
 百八十センチは超えている気がする。

 里穂が足台を使わなければ届かないような天袋を楽々のぞき込んでいた。

 我が子も十数年後にはこんなに身長が伸びているのだろうか。
 考えていたら、里穂の口から言葉が漏れ出た。

「……なぁ」