あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

 とうとう慎吾に子供のことがバレてしまう。

 惚れた贔屓目でもそっくりなのだ、他人からは二人が真実の親子としか思えないだろう。

 それでも、慎里の父親である彼以外に頼れる人がいなかった。
 だが。

「これからどうなるの」

 慎里が我が子と知れた時の慎吾の反応が、彼女には予想もつかない。

 罵られるのか。
 冷たい目で軽蔑されるのか。
 あるいは危惧した通り、慎里を取り上げられてしまうのだろうか。

 可愛い我が子の顔を見たのは、十四時間前。
 あれが母子として過ごせた最後の時間になってしまうのだろうか。

「……慎里……」

 里穂はよすがのように携帯を抱きしめていると、やがて携帯が震えた。

『救急病院に連れて行った。解熱剤が効いて、気持ちよさそうに寝ている。仕事が終わった君が迎えにくれば、家に帰れるそうだ』

「慎里、よかった!」

 里穂は携帯を握りしめた。