激震が走った翌日。辞めたスタッフの穴埋め勤務分が終わった里穂は、大きく息を吐き出した。

「ようやく休憩に入れる……」

 ひとまず清掃道具を片付けると、肩をぐるぐる回しながらスタッフ専用の休憩室に向かう。

 入退室簿に〇八:〇七と入室時間を記入し、空いてる席を見つけて座った。

 携帯の電源を入れると、息子を預けている保育園から連絡がないかを確認する。

 連絡がないということは、元気に過ごしているようだ。

「慎里……」

 彼女の携帯の写真フォルダは息子の写真でいっぱいである。

 慎里は一昨日の七月二十五日で一歳の誕生日を迎えた。

 愛しい息子は、歯が生えかけていてぐずったりするけれど、慎里の顔を見ると疲れが吹き飛ぶ。