あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

 里穂と慎吾が知り合って四年目のハロウィン。
 新しい家族と過ごす三回目のこの日、二人は人前式を行うことになった。

 相変わらず里穂と慎吾は壁の花となっている。

「今年もすっごい混んでるね」
「ああ」

 以前と違うのは、彼らと話したい誰かしらに近寄られていることだ。

 慎吾の男らしさはマスクや特殊メイクで隠しきれてないし、かつてホラーナイトイベントで泊まった客もいる。

 宿泊時は怯えてしまったかもしれないが、立っているだけでもオーラを放っている男を周囲が放ってはおかない。

「相変わらず慎吾ってばモテリーマンだよね」

 里穂が半ば本気でにらむ。
 傍の男ときたら妻帯者で、既に二児の父親でもあるのに。
 少しはイケメンの空気を消せばいいものを、垂れ流しているからいけないのだ。

 だが、慎吾の方もむすっとしてる。

「視線の半分は里穂目当てだからな」
「へ」

 里穂は目をまん丸くした。

 銀髪のロングヘアーを後ろで束ね、尖った耳を持つエルフ族。
 澄みきった水色の瞳に中性的な体つき。
 なのにサラリーマンスーツに身をつつみ、アンバランスさと艶かしさを撒き散らしている。

「そんな表情したら、可愛くて仕方ないだろう」

 慎吾が魅惑的な笑みを浮かべながら里穂の頬に指先で触れると、きゃああ……とどこかで歓声が上がる。