あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

 母子手帳をもらい、二度目のマタニティライフが始まった。

 今度は慎里もいて、慎吾もそばにいてくれる。
 深沢の両親もそして隠岐夫妻もいる。
 両夫妻は里穂の妊娠がわかってからサポートしてくれる気満々である。

 万全の体制だった、が。

 今回も眠りづわりで、しかも嘔吐感もある。
 どちらも我慢はできない。
 病気ではないとはいえ、胎の子が元気に育っている証拠とはいえ、なかなか辛い。

 慎吾はそんな里穂の傍にずっといてくれる。

「こんなに大変なんだな」

 慎吾は彼女の背中を撫でながら呟く。

「『妊婦は大変なんだ、夫がどれだけ気遣いしてやれるかが妻の心身にも影響する』と力説していた護孝の言う通りだった。どれだけサポートしてもしすぎることはない」

 里穂の負担にならないよう、彼女をしっかりと支える、と慎吾は力強く言う。しかし、秀麗な顔を心配で曇らせた。

「……里穂が電車で出勤中。眠気におそわれて、線路に落ちたら。横断歩道の階段から落ちたらって考えて、改めてゾッとした」

 胎児だけではなく、彼女の命にも関わる。