「病める時も貧しい時も。慎里のことで喧嘩した時も、ずっと貴方のそばにいる」

 瞳に熱を込めて宣言したのに、慎吾は厳しい表情になり、前を見つめたまま。
 里穂がどうしたの?と尋ねるように首を傾げても、口を引き結んでいる。

 やがて。
 慎吾が区役所の駐車スペースへ止めた。
 はーっと息を大きく吐き出す。

「……危なかった」
「何が?」
「もう少し着くのが遅かったら、車の中でがっつきそうだった」

 慎吾がニヤリと笑い、里穂は真っ赤になった。