あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

 慎吾が女性に微笑む、甲斐甲斐しくサーヴィスをする。あるいは、彼が恭しくエスコートをするたび、女性がうっとりと慎吾を見上げる。

 考えただけで胸が焦げてくる。

「まさか。俺は里穂専属だよ」

 眠そうな声なのにはっきりした口調で、里穂は満足した。

「男性客はおざなりに。……じゃなかった、適当に」

 楽しそうに里穂が笑う。
 振動が心地よかったのか、慎吾の手が彼女の髪や背を撫で下ろす。

「女性客の時は、どうしても外せない日以外は自分でモニターを確認していた。で、違うとわかれば背格好の似たスタッフに『にわかシンゴ』をやってもらった」

 出張の日は、モニターの画像を送信してもらっていたと言う。

「『里穂だったら絶対に逃すな』って命令するつもりだった」

 今度こそ彼女は満たされて慎吾の胸に頬ずりした。

 慎吾の手が里穂の頭や耳たぶ、肩に触れていく。
 少しでも触っていたいというような彼の気持ちが嬉しい。
 そして、激しく貪りあった後なので里穂はとろとろ……と寝落ちしかけた。

「腕に抱いて寝ていても」

 慎吾も寝ついたのかと思っていたら言葉が聞こえてきたので、耳だけ彼に集中する。

「里穂がいなくなってそうで不安だった」

 切ない告白に、目が醒めてしまった。