あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

 似たような電話番号へSNSを送信してあの部屋へ招待していたのは分かった。
 しかし、自分に繋がる電話はたった一本。里穂が訪問するかモニターで確認していたのだろうか。

「……もしかして、私の時みたいに『フライマン・シンゴ』で出ていったの?」

 質問しつつ、胸にチリチリと妬けるものがある。

 彼の上に覆いかぶさっていた里穂を、慎吾は薄く目を開けてぼんやりと見た。
 両手で彼女の背中を引き寄せる。

 抵抗することなく、里穂は慎吾の胸に抱き寄せられた。

「『ホラーナイトイベント』」

 慎吾がつぶやいたので、里穂は耳をそばだてる。

「『ハロウィンの日よりモンスター・フライマンがとある客室の(しもべ)となりました。
○月○日、一泊ご招待。
宿泊中、フライマンが御用を承ります。
注意:かなり怖いモンスターです。
心臓の悪いかたはご遠慮ください』」

 頭がいいな、と思う。
 あの容貌は初めて見ると、なかなかショッキングだ。

『ホラー』『モンスター』というキーワードは気弱な人は遠慮してほしいというメッセージだ。
『フライマン』は里穂への呼びかけである。
 誰が怖がっても、里穂だけはフライマン・シンゴを抱きしめる。

 けれど、里穂は不安になった。

「それ、全部慎吾が専属スタッフになったの?」