あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

 慎吾の唇と手が里穂の体のあちこちを触れていくたび、彼の肌や体、髪や息が里穂の体の上を動いていく。

 慎里を授かった時の快感は、こんなにも狂おしくて甘いものだったろうか。
 彼に触れられた瞬間、里穂の体はピクリと跳ねて声が出てしまうのを止めらない。

 やがて里穂の目の前が白く輝いたあと、慎吾が荒い息で彼女に訊いてきた。

「里穂、もう入りたい。いいか」

 いい、とうなずいて里穂は小さな声で言った。

「私、あの日以来初めてで……、その。慎吾との夜とのあと」

 妊娠、出産、子育て。
 初めてのことばかりの連続で、一日の終わりに倒れ込むように眠る日々。

 自分を慰めるなど思いもよらず、まして慎吾を忘れることができなかった彼女は恋人を作ろうとも考えていなかった。

 慎吾が止まった。

「俺も」
「え?」

「『里穂と再会したら無茶苦茶抱いてやる』って決めてたから、あの日以来誰も抱いてない」

 里穂はまじまじと慎吾を見た。