あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

……正直、ランジェリーショップで選んでいる時、ベビードールとショーツだけでブラジャーはいいかと思った。

 彼には全てを見られてしまっている。胸が平らなこともだ。
 だが、山二つは無理でも緩やかな丘くらいは作っておきたい女心からブラジャーを買ってつけたのに。

「どうせ、つるぺたのまな板だもんっ」

 妊娠中、最大の巨乳になれた。
 おおお、と鏡の前で胸をそらしてみたり、乳房を下から掬い上げては重さを喜んでみた。

 母乳が出る限り、慎里に飲ませることができたのも誇らしかった。
 ンく、ンくと一生懸命に乳を吸ってくれる姿を見るとどうしようもなく幸せだった。

 ……卒乳したあと、巨乳も卒業してしまった。

「いつか慎吾に触ってもらうんだと思って一生懸命ケアしてたのに」

 小さくてもすべすべでふわふわな感触を目指してきたのに。まさか触れられる前にダメ出しを喰らってしまうとは。

 彼はしばしあっけに取られ、やがてにこりと微笑んだ。

「里穂は俺のために努力してくれてたのか」

 は、と気がついた里穂が慌てて口を押さえても、もう遅い。