あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

「里穂ならそうやって抱きついてくれると思ってた!」

 彼は嬉しそうにいうと里穂を抱き上げて振り回した。
 くるくると回って、ドサリと二人でベッドに倒れ込む。

「愛している。俺のものにもう一度なってくれないか」

 包帯マスクの下から覗く目が飢えきっていた。

 里穂はたまらず彼のマスクをむしり取る。
 彼の両頬を手で挟んでささやいた。

「私はずっと慎吾のものだったよ……」
「里穂」

 二人の影が重なる。

 彼の重みや体温に酔いしれていると、耳元で小さいな……という声が聞こえた。

 里穂の人生史上最高にロマンチックな瞬間に、なにを言い出すのだ、この男は。

 む、として慎吾を自分の上からどかそうとするが、男はびくともしない。

「どうした?」
 
 慎吾は里穂の耳を食みながら問うてきた。

「どうしたもこうしたも」

 さらに腹がたつことに、慎吾は己の失言に気付いてないらしい。

 里穂は彼から与えられた刺激に身をよじらせながらも口を尖らせる。

 自分がAカップだとわかっているが、第三者とりわけ好きな男に言われるとショックが大きい。