「でも実技で汗かいたし」
下着だって取り替えたい、と自分に言い訳をする。
「慎吾……入ってくるかなぁ」
彼も仕事終わりである。
『俺も!』と入ってくる可能性はありえる。
里穂は気づいた。
「そういえば、今まで一緒に入ったことない」
慎里を風呂に入れてくれるのはメインで慎吾がしてくれる為、脱衣所で息子を受け渡す時に彼の裸体をチラっと見る程度だ。
見てはいけないと一生懸命下を向いているので、ほんとうにほんの一瞬。
この数ヶ月、彼の肌を見たのはそれくらいである。
『風呂を一人きりでゆっくり入ってこい。……乱入したいのはやまやまだが、ご子息といい子にして里穂の出るのを待ってるよ』
家での慎吾は、ウインクしながら彼女に憩いの時間をくれた。
「どうしよう……」
なので、照明付きでいきなり一緒の風呂というのはハードルが高い。
出るべきか、待っているべきか。
けれど、いつ入ってくるかわからないのに、悠長に泡だらけになってもいられない。
石鹸で体中を磨き上げるのは諦めて、シャワーで汗だけを流した。
買った下着を身につけた上にバスローブを重ねた。
脱衣所を出ようとして、ためらってしまう。
『恋人とのデートだ』と言って店員と一緒に選んだ下着はセクシーすぎたかもしれない。
慎吾に会うのが怖い。
「エッチな女、て思われたらどうしよう」
そっと、部屋と脱衣所の境のドアを開ければ部屋は薄ぼんやりとした間接照明だけになっている。
逆光で見えづらいがベッドの前に誰かいるようだ。びくびくしながら近付いていく。
「慎吾?」
そっと声をかけると、その人物は振り返った。
目を見張った後、里穂は思わず駆け寄って抱きついていた。
「シンゴ!」
ハロウィンの日、愛し合ったフライマン・シンゴがいた。



