十八時きっちりに里穂はロッカー室に飛び込んだ。

 ホテル併設のショッピングアーケードの中にある高級ランジェリーショップまで、可能な限りの早歩きで移動する。

 走りたいけれど、ホテルの従業員がダッシュする訳にはいかない。

 十分後、小さなショッピングバッグを大事に胸に抱えながら歩いていく里穂の頬は真っ赤に色づき、瞳が潤んでいた。

 ショッピングアーケードからエスカレーターで三階まで上がると、ホテルフロアになる。

 里穂は照れくさかったからフロントを通り過ぎて、エレベーターを使う。

 ドキドキしながら階数を押せば、あの日から忘れたことのない、けれどあの日以来入ったことがない部屋のフロアに到着した。

 ドアはスタッフが持っているマスターキーを差し込めば解錠できる。

 なぜか緊張しつつドアを開けた。
 途端、パッと照明がついたところを見ると、まだ慎吾は到着していないらしい。

 里穂はこれから悪いコトをするような気持ちで、ショッピングバッグを抱えてバスルームに入った。

 シャワーを浴びていると、チャイムが鳴った。
 どうしようと思いつつ無視することは出来ない。
 バスルームに設置してあるインターフォンで返事をする。

「どうぞっ」

 ……シャワーを浴びているなんて、はしたなかったろうか? 
 急に自分の行動が積極的すぎるのが気になってしまった。