「リハビリセンターやスポーツ選手のためのトレーニングセンターを作ってもいいし。合わせて運動科学の最先端の学部の誘致とか複合計画を県に持ち込んでもいいかな、と」

 こともなげに大きな構想をいう男に、里穂は理解が追いつかない。

「日本での国際試合の際に誘致アピールにもなるから県にも国にも美味しい。勿論、エスタークの最上のホスピタリティ付きでね」

 慎吾は里穂の唇に指をあてると、艶かしい色の双眸で彼女の瞳を覗き込んだ。

 里穂は真面目な話をしているにもかかわらず、男の色気にあてられてドキリとしてしまう。

「企業秘密だからね? まだ、里穂と俺と護孝だけのナイショだぞ」

 うなずくしかできない。けれど、慎吾がするといえば実行してしまうのだろうと思う。

 あーう、と慎里が声をあげた。

「勿論、我が息子よ。おまえも保育園で喋るなよ。男と男同士の約束だぞ?」

 慎吾が慎里に念押しすれば、まかせとけとばかりに息子があぶうという返事をしたので、里穂は声を出して笑った。

 慎吾が真面目な表情になる。