あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

「たしかに俺はモテリーマンでね。女が寄ってき放題」

 けれど、寄ってきては去っていく女性達にほとほと嫌気がさしていた、とも言った。

「面倒だから、さっさとフラレちまえと思った訳だ」

 それからは背中の傷をあえて晒すことにしているのだという。
 シンゴは悪い笑みを浮かべた。

「さっきは悲鳴のオンパレードだった」

 とすると、会場で悲鳴が聞こえていたのはこの男が原因だったのか。

「悪い男だなー」

 呆れた口調のふりをしたが、本気なわけではない。
 なんたって特別な夜なのだ。
 びっくりさせられることを期待している人も多いだろう。自分もドキドキしている。……多分、ほかの人よりは甘い動悸だ。

「なんでかな。リホなら驚かないでくれると思った」

 一層ドキドキしながら、彼の言葉を待つ。

「だからって別に、リホのことを頂こうと思って部屋に連れ込んだわけじゃない」

 ……なんだ。シンゴほどいい男でも、こんな痩せっぽちでは欲情してもらえないのか。
 里穂は非常にガッカリした。そんな自分に気づいて、不思議な気分になった。

「ウン」

 人道的という奴なのだろう。