「か、火災報知器が鳴らなかったから、連絡があっても悪戯だと判断したんだ。メンテナンスを怠ったからだ、つまりは旅館の不備だ!」
何とか場の主導権を取り返そうとする戸黒を気にすることなく、里穂は遠くを見るような目つきになった。
報知器は間違いなく前日まで正常に作動していた。
父は泊り客へ供する食事の合間を縫って、毎日少なくとも四回も確認していた。
当然、あの日も何回かは確認していた。
……なぜ肝心なときに作動しなかった?
「そういえば、猿が敷地に入ってきたから父は見回りに行ったんだった」
彼女の独り言のような呟きに、戸黒は噛みついた。
「それがなんだ!」
猿が侵入してきたのは柵に電気が通ってなかったからだ。
鳴らなかった装置。
里穂の頭の中でパズルが組み合わさっていく。
「火をつける前に、警報器が鳴らないよう電気の線を切ったんでしょ?」
ヒュ、と戸黒の喉が鳴った。
悪事が発覚して追い詰められた人間の顔だ、と周囲は思った。
何とか場の主導権を取り返そうとする戸黒を気にすることなく、里穂は遠くを見るような目つきになった。
報知器は間違いなく前日まで正常に作動していた。
父は泊り客へ供する食事の合間を縫って、毎日少なくとも四回も確認していた。
当然、あの日も何回かは確認していた。
……なぜ肝心なときに作動しなかった?
「そういえば、猿が敷地に入ってきたから父は見回りに行ったんだった」
彼女の独り言のような呟きに、戸黒は噛みついた。
「それがなんだ!」
猿が侵入してきたのは柵に電気が通ってなかったからだ。
鳴らなかった装置。
里穂の頭の中でパズルが組み合わさっていく。
「火をつける前に、警報器が鳴らないよう電気の線を切ったんでしょ?」
ヒュ、と戸黒の喉が鳴った。
悪事が発覚して追い詰められた人間の顔だ、と周囲は思った。



