ならば、どうして彼女の家に急行しなかったのかと、周囲は戸黒に非難の視線を投げている。
お前が止めたのか。
そもそも、どうして彼女の家に火をつけをさせた?
周囲にとって、里穂の家に放火させたのは誰か。それはすでに決定事項だった。
「だから、他の町に応援に行ってたんだ!」
「どの町?」
「守秘義務がある!」
「うちの火事についての詳細と私を放火魔だと公共の場で大声で叫んだことは、守秘義務から外れているよね」
戸黒がぐっと詰まった。
周囲のヒソヒソ話が里穂の耳にも届く。
この頃には戸黒や里穂達のうしろで携帯の動画機能を作動させている人間がいた。
……さりげなく慎吾が里穂の顔を画面から隠したが、興奮している戸黒は気づかない。
「そんなもの、お前が犯罪者だからだ!」
口から唾を吐き出しながら喚く男を、里穂はひたと見据えた。彼女の目がギラギラしている。
「旅館は山腹にあった。風向き次第では、うちから飛び火して山火事になる可能性があった」
反対に山から吹き下ろされた風向きだったなら、火の粉が町に飛んでいったはずだ。
いずれにせよ、看過されるべき事案ではない。
そんなこともわからないのかと里穂の視線は雄弁に語っている。
お前が止めたのか。
そもそも、どうして彼女の家に火をつけをさせた?
周囲にとって、里穂の家に放火させたのは誰か。それはすでに決定事項だった。
「だから、他の町に応援に行ってたんだ!」
「どの町?」
「守秘義務がある!」
「うちの火事についての詳細と私を放火魔だと公共の場で大声で叫んだことは、守秘義務から外れているよね」
戸黒がぐっと詰まった。
周囲のヒソヒソ話が里穂の耳にも届く。
この頃には戸黒や里穂達のうしろで携帯の動画機能を作動させている人間がいた。
……さりげなく慎吾が里穂の顔を画面から隠したが、興奮している戸黒は気づかない。
「そんなもの、お前が犯罪者だからだ!」
口から唾を吐き出しながら喚く男を、里穂はひたと見据えた。彼女の目がギラギラしている。
「旅館は山腹にあった。風向き次第では、うちから飛び火して山火事になる可能性があった」
反対に山から吹き下ろされた風向きだったなら、火の粉が町に飛んでいったはずだ。
いずれにせよ、看過されるべき事案ではない。
そんなこともわからないのかと里穂の視線は雄弁に語っている。



