あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

「ハズレ。振られるのは俺のほう」

「またまたー」

 先ほど二人で壁の花をしていた時だって、シンゴを気にしているらしい女性達がチラチラと彼を見ていたのだ。

 なぜか里穂をみて、諦めたようではあったが。
 ……『虫よけ』にされたと気づく。
 ムカついたりはしないものの、シンゴが別に里穂といたかった訳ではないと悟ると、体のどこかが痛い。

 だが、彼女は落ち込む代わりにぷ、っと頬を膨らませた。

「嘘つきは泥棒の始まりなんだから」

「ほんと、ほんと。リホには特別に見せてあげるよ」

 シンゴがパサリとジャケットを脱いだ。
 予想通り、しなやかな筋肉で覆われている。
 そして、背中には大きな傷痕が。

 全く、見事な作りだ。警戒していたのも忘れて、里穂は感心した。

「精巧なメイクですねー。特殊メイクをやっているお友達にやってもらった?」

 里穂はよく見るために彼に近寄っていった。

「あ、背中は本物」

 さらっと言われて、最初は意味がわからなかった。

「火傷負ったのは、もう十年以上前なんだけどね。まだ引き()れてるな」