……寝る段になり、今度はベッドメイキングを復習中である。奮闘していると、慎吾に抱っこされた息子がうぶー、ぶううと応援してくれる。

「不思議なんだけど。どうしてずっと三人で寝てるのかな」

 わざとらしく里穂は首を傾げる。

 慎里は昼寝をするときは里穂か慎吾どちらかがいれば泣かない。なのに夜、本格的に寝るときに三人揃ってないとギャン泣きするのだ。

「慎吾が在宅ワークしてる時は騒がないのに」
「でも徹夜をしようとすると、猛抗議される」

 慎吾がいえば、当たり前だろとでもいうように、ぶううと慎里が口を尖らせる。

「でも、慎吾が出張のときは二人でも平気なのに。……慎里、どうして?」

 息子に聞くというより、独り言に近い。

 薄情ではない。むしろ、慎吾が出て行くときにはそれこそ一生離れ離れになり、二度と会えないと信じこんでるのではないかと思わせるくらいの泣きようである。

 だが慎吾が出張に行ってしまうと、まるで父親など最初から今まで一度もいませんでした、覚えてもいませんくらいに里穂に甘えてくる。
  
 そして慎吾が帰ってきたらずうっとべったりである。

 初めての出張の時はものすごかった。――慎里よりも里穂の落ち込み具合が。