慎吾は隠岐CEOと幼馴染で親友の間柄だという。
 宿泊施設巡りが趣味の友に付き合って色々な所を旅していたと話してくれた。

 突然、里穂が真っ青な顔になる。

「私が、慎吾にサッカーを辞めさせた……」

 好きな人の人生をねじ曲げてしまったのが自分だったとは。

「里穂。世界に通用する選手だっていずれ引退する。俺だってモノになったかわからんし、仲間内での草サッカーなら今だって十分できる」

「でも!」

「君もそうだが、人間全てが思い通りの人生を歩めるわけじゃない」

 慎吾は里穂を責めまいとしてくれる。
 だからこそ彼女は自分を断罪しなければならない。

「私のせいで慎吾や両親の人生がめちゃめちゃになったッ」

 慎吾は興奮してきた里穂を彼女の唇を人差し指で触れることで鎮めた。

「ご両親は確かに火災で人生計画が狂っただろう。それは里穂も一緒だ」

 自分は罪を犯したのだから仕方ないのだ。

 慎吾は里穂の双眸から、彼女が抗弁したいと汲み取っていたようだが構わず話を続けた。