あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜

「岡安さん、あなたは中学校を卒業して以来働き詰めだったと思うのですが、何か将来の展望を持っていますか?」

 里穂は答えに窮した。

「憧れ、夢と言ったことでも構いません」

 憧れ。
『真っ当に生きていれば最後はいいことで終わるものよ』と言っていた母。
『愛されて大事にされれば、相手を幸せにしてやりたいと思うもんだ』と言っていた父。
 
 自分も真っ当に生きる。父母のように愛し愛されて、里穂と慎吾を幸せにしてくれた慎吾を、同じだけ幸せにしてあげたい。

 夢。
「……大学か、ホテル学校へ入りたいと思っていました」

 慎里が生まれて、心の一番奥に押しやってしまった目標。