次第に私は兄に打たれたのだと分かって来た。 ゆっくり瞼を開いて兄を見た。 兄は自分の右手を左手の掌で包んで抑え、じっとその手を見ている。 私の投げ出された右足の足首は兄の左足首に触れている。 そこから伝わる兄の体温と、目を伏せている兄の様子を見て、私はなぜか大丈夫だと感じた。