「何か君、受験の疲れがまだ抜けてないみたいだね。それとももう五月病か?」 私は不意に知らない男の人に声を掛けられて、一瞬、ひどく驚いた。 しかし声を掛けて来た男の容姿を見て、少し安心した。 真澄はすごく大人に見えるので、学生ではなく大学の職員かと思った。 ひとりで呆けている新入生に、職員が気を遣って声を掛けて来てくれたのかと思ったのだ。