杉山先輩は私の顔を見るなり 「まあだ、だあれもいないよお」 と言って笑った。 その言い方がちょっと可笑しくて、私も笑って挨拶をした。 明るくて親しみやすい先輩だ。 先輩は私が出入り口付近の椅子に座るや否や 「そうだ」 と言って、椅子からぱっと立ち上がた。 そしてパタパタと音を立てて、私のすぐ側まで寄って来た。 何事かと思った私は、近づいてくる先輩の顔を凝視した。