「だけどお前、これから就職だって結婚だって控えているのに、パパがいなくていいのか?そんな事になったら、結婚式にも来ないような薄情な親を持つことになるんだぞ」
「いいんじゃない別に。だって彼だってお母さんしかいないし。色々説明するのが面倒なら、彼にはパパは死んだってことにしておけばいいんだし」
「死んだ・・・」
「そう、そうしておけばいいのよ。失踪より聞こえがいいから、体裁ばかり考えているうちの親戚ならみんな口を揃えて言うよ。パパは死んだって」
なぜかパパはうな垂れてしまった。
運転手が申し訳なさそうに私達の会話を割って、話しかけてきた。

