「ここだよ」


真澄がそう言って最後に指差した家は築二十年、いや三十年くらいは経っていそうな小さな二階建ての家だった。


隣のアパートとの隙間はほとんどなく、庭という庭もなく、門を入るとすぐに玄関の扉があった。


真澄はよほど母親を驚かせたいのだろう、何も言わずそっと玄関を開けた。


すると玄関には女性の靴に混ざって一足だけ男性の革靴が置いてあった。